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253.玄関マットを拾った話

その他

〜マンション前で拾った玄関マットの行方は?届けた先で感じた「防犯の温度感」〜
 
 
 
家を出ようと建物の外に一歩踏み出したとき、目の前に玄関マットが落ちていたらどうしますか?
 
出勤前なら構っている暇などありません。
 
コミケなどのイベントに行くときなら、時と場合によるでしょう。
 
だがしかし、メルカリの発送前であれば……。
 
 
 
 
今にも雨が振り出しそうな湿った空気の中、私はスマホを持つ手と反対の手で玄関マットを拾い上げ、周囲を見回しました。
 
けれども、落とし主らしき人は勿論ただの通行人すらひとりも見当たりません。
 
建物を振り返って玄関側にベランダのある部屋に目を凝らしますが、そこにも人影はなく。
 
今度は干してある洗濯物に目を向けました。
 
十中八九、現在洗濯物を干している部屋の何処かから風で飛ばされたものなのだろうし、不自然に洗濯物の隙間が空いていれば、その部屋の住人が落とし主である可能性が高いと考えたのです。
 
しかし、玄関マットだけ手摺にでも干してあったのか、そのような隙間も見当たらず。
 
最後の手段として、それぞれの住人の持ち物から似たような趣味のものを割り出そうと、洗濯物の色や形に着目して『この服の持ち主はこの玄関マットを使用しているだろうか』と妄想を巡らせることに。
 
真剣な顔で人様の洗濯物を見上げる姿は、はたから見たら不審者だったに違いありません。
 
こういうとき、コナンくんや灰原さんなら風向きやら重力を計算して落下地点から落とされた場所を特定するんだろうな。
 
サイレント・ウィッチでもそんなシーンがありましたね。
 
 
 
 
私にそんな計算力はないので、とどのつまり勘で部屋を決めて凸したわけですが。
 
無事に一発で落とし主に辿り着くことができたので、私の勘も馬鹿にできません。
 
同じマンションの住人なんて挨拶くらいしかしたことがないので、訪問の際はインターホンに映るよう玄関マットを持ち上げて不審者でないことをアピールしました。
 
チャイムを鳴らしてからすぐにドアが開き、下で拾ったことを伝えて任務完了。
 
出てきたのは女性でしたし、お礼を言ってもらえたので一安心しました。
 
 
 
 
その後、私が改めて建物を出ようとすると玄関マットを持ったその女性がベランダに出てくるのが見え、会釈し合ったのですが……
 
私は気づいてしまいました。
 
そのベランダに、女性物の下着が干してあることに……!
 
いや、ここ、ド田舎の農村とかじゃないんですよ。
 
東京都内!
 
23区!
 
女性が外から見えるところにブランと下着を干すのはちょっと、無防備が過ぎやしませんかね?
 
大きなお世話だとは思いますけれども!
 
おばあちゃんの下着とかならまだわかるのですが、普通に若者のそれで……怖い世の中だからさ……盗まれなくたってご家庭が狙われるじゃん。
 
下着や女性目当てじゃなくたって、訪問系の人は無防備そうなお宅に行くじゃん。
 
同じ建物だから私だって完全に無関係とも言い切れないし、せめて下から見えない位置に干す物干しとかセッティングしてくれたら……!
 
と言うか、落ちたのが玄関マットで良かったな?
 
──などと、思ったのでした。 

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