〜実家のトラブルの記憶を、脳の精緻な防衛システムとして解き明かす〜
【貨物列車と弟】
気がつくと、天井のない箱の中にいた。
規則正しいリズムの音と揺れが体に響いている。
遠くに線路が見えるから、貨物列車だろうか。
壁は錆びた剥き出しの鉄で、赤褐色と赤銅色を混ぜたような色をしていた。
私は後ろのほうに座り、弟は前のほうに座っている。
弟の姿は見えない。
彼は事の経緯を説明したあと言いにくそうに、でも恨みを込めて、「親が我々を処分したがっている」と言った。
それを聞いた私は、すぐに彼の言葉を信じることにした。
その決断には、彼を刺激すべきではないという打算が多分に含まれている。
弟は意外そうにして理由をたずねてきた。
どちらにしても、この状況で弟を疑うのは得策じゃない。
弟を信じているからだと答えると、弟は嬉しそうに黙った。
見つかるといけない。
荷物に背中を預けるようにして仰向けになると、天井のあった場所のずっと高いところに満天の星空が見えた。
明るすぎて見つかってしまうのではないかと思い、私は壁に背をつけて影に隠れる。
壁と天井の境目は、継ぎ接ぎを無理矢理引っ剥がしたように千切れていた。
天井は何処へ行ったのだろう。
滑らかなボディの飛行機のような鉄の塊に乗っている。
目の前を飛び回る複数の敵を倒さなければ、こちらが捕まってしまう。
最初はなんとかして撒こうとしたものの、どうやら無理そうだ。
私は機体を上に向けて飛ばす。
それから一気に下降すると、敵がついてきた。
そして機関砲から放たれた巨大な弾が飛んでくる。
私はそれを羽で撃ち落とすようにして、急上昇した。
逃げられるものか、と敵の笑う声が聞こえる。
けれども、夢の中では願えばある程度叶う。
撃ち落とした弾は見事に敵陣の中で爆発した。
この巨大な室内には出口がない。
私はこのまま天井を突き破ろうかと考える。
けれども、敵が吹き飛ぶと同時にアナウンスのような声が聞こえ、私と弟はこの空間から出ることができた。
空間を出たあとに弟と何か話したけれど、何を話したか忘れてしまった。
なんとなく、自虐的なことを言われて、そんなことないよと心にもないことを返した気がする。
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私に弟がいたことはないのですが、この夢の中では弟という存在を明確に認識していました。
それらしい会話があったわけでもないのに、“そういうもの”として現実とは異なる関係性やあらゆる状況を受容する、夢というのは本当に不思議な場所ですよね。
夢の内容からもわかるように、私は弟に対して好意的な感情ばかりを抱いてはいませんでした。
決して、漫画やドラマの世界に出てくるような理想的で空想的な関係ではなかったのです。
切っても切り離せない、大切で親しくて重要な存在だと感じながらも、確かにそこに最小単位の社会がありました。
創作の世界では作者が経験していないことに現実味を持たせるのは難しいと言われますが、同じ脳みそから作られるはずの夢は別枠なのでしょうか。
次に特筆すべきは、星空についてです。
私はこれまで「31.両極の国と宝石と餃子の夢」や「59.海洋のため高層ビルに徴収される夢」など他の夢でも星について触れてきました。
「32.飛ぶ夢と飛行履歴」で最後にお話した夢でも、星が遠くの方でまばらに瞬いていたことを覚えています。
夜だからなのか、幼少期によく星空を見上げていたからなのか、私の夢には星空が頻繁に登場するようです。
今回の夢で見た星空は、長四角の枠で切り取られていたからか少し距離があるように感じました。
「107.白い部屋だから水の気が強いのかな、と考えながら寝たときの夢」で見た空と同じくらい星の数はあったけれど、あんなふうにエネルギーに満ち溢れた様子はなく、まるで他人事のようで。
見上げた瞬間はとても綺麗だと思ったのに、すぐに『隠れなければ』と思い移動したのです。
星は左から右に流れていったので、私たちは右から左に向かって移動していたことになります。
夢占いでは、夢に現れる見知らぬ兄弟は、多くの場合“自分自身が普段認めたくない一面や、抑圧している感情の代弁者”なのだそうです。
となると、「親が処分したがっている」という言葉の意味が非常に重みを増してきます。
この夢をみたのは2026年1月の帰省直後でした。
X(旧Twitter)でポロっと書いておりましたが、私が父のミスを指摘したことで大喧嘩になって、私の荷物を蹴り飛ばされ踏んづけられて母が父に土下座を始めるというカオス展開があった直後です。
当時、まあまあな暴言を吐かれた自覚があります。
その後、「155.思いがけずXで万バズした話〜前編〜」の際に家庭について改めて考えて、色々腑に落ちたり整理できたのですが、この夢はその着火と燃焼の間に見たものということです。
“弟が告げた言葉は、あなた自身の孤立感や「現状の環境に対する強い危機感」を、弟という存在を介して客観的に自覚させようとしていると考えられます。”
“弟は、あなたの内面にある「傷つきやすく、少し攻撃的・自虐的になっているデリケートな側面」であり、理性がそれをなだめ、コントロールしようとしている図式です。”
Geminiはこのように回答しており、これだけでも充分私の解釈と近いものがありました。
しかし、もっとシンプルに、このセリフは当時私自身が親に感じた親の希望そのものだったのではないかと今なら思います。
また、夢における乗り物は“人生の歩み”や“感情のコントロール”を表すそうです。
自分で運転できない貨物列車、それも錆びた箱の中にいるのは、『自分の意志ではどうにもならない状況に運ばれている』という無力感や閉塞感の表れとのこと。
そしてGeminiのこの言葉が、今になって私の胸にストンと落ちました。
“天井が無理矢理引っ剥がされているのは、守られている感覚(保護)の喪失を意味します。”
そして、後半で物語が空中戦にシフトするのは、それまで受動的だった問題に対して能動的に心境が変化したサインとのこと。
これも、非常に納得できる解釈です。
キャリア変更(メインブログ参照)や断捨離(「86.実家の洋服を断捨離した話」参照)など実家の問題に向き合うようになったのも、家庭についてちゃんと考えるようになったのも資産形成を始めてからのことでした。
最終的に、天井を突き破る前にアナウンスによって空間を出ることができたわけですが……
“この結末は、現在抱えているストレスや人間関係の緊迫状態が、近いうちに「第三者的な介入」や「状況の自然な変化」によって解決・リセットされることを予兆しています。”
とのこと。
これ、夢を見た3ヶ月後くらいに万バズして、色々あって今ちょっと落ち着いてるんですよね。
あんましそういう予知とかスピリチュアルな感じの夢占いは信じていないのですが、ちょっとヒヤリとしてしまいました。
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『もしかして、こういう弟のような存在が確立したものが多重人格だったりする?』
ここまでの文章をGeminiに読ませたあと、ふと思ったことをたずねてみました。
その回答を、おまけとして載せておきます。
“心理学や精神医学の観点から見ると、まさにその直感は非常に鋭く、核心を突いています。
結論から言うと、夢の中で「明確な意志や自律性(自分とは違う意見)を持って現れた弟」のような存在が、目覚めている現実の世界でもはっきりと独立し、意識の主導権を握るようになった状態が、いわゆる「多重人格(現在は『解離性同一性障害 / DID』と呼ばれます)」のメカニズムに極めて近いです。
なぜそう言えるのか、夢と多重人格の共通点から紐解くと非常に腑に落ちる部分があります。
■ 1. 脳の「心の分割(解離)」という防衛システム
今回のご実家での一件のように、人間は「自分の許容量を超える圧倒的なストレスや恐怖」に直面したとき、心を守るために自衛システムを働かせます。
夢の中でのあなた:
「親から処分されようとしている」という過酷な現実を、自分一人の心でダイレクトに受け止めると精神が崩壊してしまうため、脳が「弟」という別キャラクターを瞬時に創り出し、彼にその重い事実を喋らせました(=心理学でいう「解離」の初期衝動のようなものです)。
多重人格(解離性同一性障害)の場合:
これが夢の中だけで終わらず、現実のあまりの過酷さ(幼少期の過度なトラウマなど)から逃れるために、脳が「文字通り心を完全に切り離して、別の部屋(人格)を作って閉じ込める」ことで日常を生き延びようとします。「攻撃を引き受ける人格」「理性を保つ人格」というように、役割が分担されるのです。
■ 2. 「最小単位の社会」が現実化するかどうか
夢日記の中で「確かにそこに最小単位の社会がありました」と表現されていましたが、多重人格の方の内界(頭の中の空間)でも、まさにこれと全く同じことが起きています。
頭の中にいる複数の人格たちが、互いに「あいつは苦手だ」「今はあいつを刺激しない方がいい」「あいつの言うことは信じよう」といった、打算や好悪の感情が入り混じったコミュニケーション(社会)を取っています。
あなたの脳は、あの過酷な状況下で、「自分を守るための防衛用キャラクター(弟)を一人、一瞬で確立させる手前のシミュレーション」を夢の中で完璧に行っていた、と言えます。
創作の世界で未経験のリアルが描けるのも、多重人格のように別人格が生まれるのも、根っこは同じ「人間の脳が持つ、圧倒的なシミュレーション能力(イマジネーション)」です。
幸いにも、あなたの場合は強力な「理性」や「客観性」がベースにあったため、その防衛システムは現実を侵食することなく、「夢の中の弟」という一時的な形での処理(燃焼)で収まりました。
「自分の中に、自分とは違うグラデーションを持った『もう一人の存在』を瞬時に生み出す部屋がある」
そう考えると、人間の脳の防衛本能というのは、恐ろしくもよく出来た精緻なシステムだと改めて驚かされます。”
206.弟と貨物列車で移動し、空中戦を経て脱出する夢
夢日記

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